2018年2月17日(土)オーチャードホール
18:30開演
20:00終演
遊佐浩二さんの本気の演技を生で聴きたくて、『朗読劇☓オーケストラ第2弾 HAMLET』へ行ってきた。
『HAMLET』は、人間の深さが描かれていて、昔から大好きな作品。何回も読んでるし、何度も観ている。学生時代にちょっと勉強したのもあって、いそいそとオーチャードホールへ。
Contents
キャスト
キャストは以下のとおり
ハムレット王子:沢城 千春
オフィーリア:小原 莉子
亡霊:遊佐 浩二
ホレイショー:小野 友樹
レアティーズ:置鮎 龍太郎
朗読劇×オーケストラ第2弾 「ハムレット」 | Bunkamura「朗読劇×オーケストラ第2弾 「ハムレット」」詳細情報。日程、料金、チケット情報をご案内いたします。様々な文化を通して未来を創る。それがBunkamuraです。
ガートルードもクローディアスもポローニアスもいない。いったいどうするんだろう……。兼役とかかな。いや、朗読劇だから、あの場面を語りにしてしまうのか……。
それにしても、ガートルードもクローディアスもポローニアスもいないのに、『HAMLET』が成立するのか?
パンフレット
パンフレット薄っ!
なのに2500円! 高っ!
内容はスタッフ一覧、曲、挿入歌の歌詞、指揮者、演出家、作曲家、編曲家紹介のほか、出演者紹介とアンケートみたいなの各2ページずつ。
遊佐さんのアンケート一個だけ紹介。
Q. 自分が演じるキャラクター以外で、やってみたい!と思ったキャラクターはいますか?
A. 今は自分の役に全力で挑みます。
『朗読劇☓オーケストラ第2弾 HAMLET』パンフより
マジメ!!
開演
オーケストラによるオープニングの後、ハムレット登場。瀕死の状態で、回顧するセリフを語る。どうもクライマックスのレアティーズとの決闘で命を失いかけている最中の様子。
へー。ココから時間を遡る構成なの。
その後、ハムレットとオフィーリアの出会いの場面に切り替わる。2人とも幼少期らしく、話し方が少年と幼稚園児のような発声で会話が続く。オフィーリアがまるでプリキュアとか、ああいうアニメの女性声優さんならではの感じ。
それより、こんなシーン、原作にあったっけ……。
原作を何度も読んで(←大方忘れているけれども)、いろいろな俳優さんが演じたハムレットを観てきた側としては、そこはかとない違和感……。
声優さんを起用していることで、アニメに寄せようとしているのかな。キービジュアルもアレだから。
亡霊登場
遊佐さんはいつ出てくるんだろう……。ハムレットの父の亡霊が最初に出てくるのは、第1幕5場で、結構先になりそう……。
そんなことを考えていると、白いスーツで遊佐さん登場。衣装協力に東京衣裳さんが付いているから、自前ではなさそう。
遊佐さんの語りはさすが! やっぱりこの人の演技は裏切らない。その語りから、意図せず命を奪われたハムレット王の歯ぎしりをするような悔しさがひしひしと伝わってくる。
だけど遊佐さんには、もっと語ってほしかった! もしかして、この台本、結構バッサリ大事なとこ切ってるんじゃないの?
『HAMLET』を全編やると6時間くらいかかるんじゃなかったか。まぁ、全部やるとは思ってないけれども、オーケストラ入れて、上演時間が一時間半とは、短すぎる。
ハムレット王の亡霊、後悔す!?
遊佐さん演ずるハムレット王の亡霊が登場したのは2回。
一回目は自分がクローディアスに暗殺されたことをハムレットに告げ、復讐を頼むところ。
二回目は……
原作となんか違うような気がするけど、亡霊がハムレットに復讐を仕向けたのを後悔する場面。
「ハムレットは幼いときから性格が~で……」
と、ハムレットの性格を分析して、自分の復讐をさせようとしたのを後悔する。
えっ…????
なんか、ここ、原作どうこうより、観客としてストーリーラインに感情がついていけない。
なのに、遊佐さん、ちゃんとセリフを成立させてる!
もうもう! さすがっす!
遊佐さん、好きっす!
リライト作品
『朗読劇☓オーケストラ HAMLET』は、『HAMLET』であって、『HAMLET』ではない。確かに、『HAMLET』と同じ登場人物の名前の人たちが登場して、『HAMLET』のあらすじをおおまかに辿るんだけど、原作を知っていると、作品自体がものすごく薄くなっているように感じる。
オフィーリアの苦悩がこんなんでいいの、とか、ハムレットの葛藤が浅いとか、佯狂へ至るプロセスが分かりにくいとか。
正直に言えば、小学生の低学年向けにリライトされた作品と表現したほうが合うかもしれない。
まぁ、それでも『HAMLET』が難しそうでとっつきにくいと思っていた人たちが、この上演をきっかけに原作に触れ、この作品がいかに深いかを知るきっかけになるかもしれない。
登場人物たち
声優のみなさんはそれぞれ悪くはなかった。ちゃんと言葉が伝わってくるし、ところどころアニメのアフレコ現場を見せてもらっているような気持ちにもなれるし、劇中に入るハムレットとオフィーリアの挿入歌も、リサイタルのような雰囲気を醸し出していた。
遊佐さんは今さら言うまでもない。すごく良かった!! こんな台本でもしっかり役作りしてくるなんて、さすが! 欲を言えば、シェイクスピアならではのセリフを遊佐さんがどう発話するかが聴きたかった。
加えて、意外にもハムレットの学友のホレイショーがめちゃくちゃイメージどおりで良かった。有名な声優さんなのかな。全然先入観がなかったからなおさらかも知れないけれども、セリフにハムレットへの暖かな思いやりが溢れていて、説得力があった。この声優さんに今後注目してみようかな。
一方、置鮎さんは、レアティーズより腹黒いクローディアスの方が合いそうな気がする。レアティーズ好きだから、なおさら。
それにしても、『HAMLET』は難しい。
だから面白い。